押し入れから出てきた段ボール箱いっぱいの切手、何冊も並んだストックブック、封筒に無造作に詰め込まれたバラの束。いざ手放そうと思っても、あまりの量に手が止まってしまった。そんな経験をお持ちの方は少なくないはずです。
大量の切手は、そのまま持ち込んでも確認に時間がかかり、内容が十分に伝わらないまま話が進んでしまうことがあります。かといって、一枚ずつ丁寧に分類しようとすると、途中で力尽きてしまいがちです。大切なのは、どこまでやればよいかの線引きを最初に決めておくことでしょう。
この記事では、量の多い切手をどのような順序で仕分けていけばよいのか、どこで手を止めるのが現実的なのかを、編集部の視点で具体的に整理します。作業のときにやってしまいがちな注意点もあわせてまとめましたので、取りかかる前の下準備としてお読みください。
始める前に決めておきたい三つのこと
整理に取りかかる前に、決めておくと迷いが減ることが三つあります。作業の場所、かける時間の上限、そしてどこまで細かく分けるかの基準です。この三つを先に決めずに始めると、途中で判断に迷って手が止まりやすくなります。
場所は、直射日光が当たらず、湿気の少ない室内を選びます。作業中に広げた切手が長時間日に当たると、それだけで状態が変わってしまうことがあるためです。テーブルは事前に拭いて乾かし、飲み物は別の場所に置いておくと安心です。
時間については、一度で終わらせようとしないことが大切です。量が多いほど後半になるにつれて判断が雑になり、分けたはずのものが混ざってしまうこともあります。一回あたりの作業時間を決め、区切りのよいところで止める進め方のほうが、結果的に精度が保たれます。
仕分けは大きい区分から細かい区分へ
大量のものを扱うときの基本は、大きな区分から順に分けていくことです。最初から額面や発行年で分けようとすると、目の前の一枚ごとに考え込むことになり、進みません。まずは見ただけで判断できる区分から始めます。
| 段階 | 分ける基準 | 判断のしかた |
|---|---|---|
| 第一段階 | 切手、はがき、それ以外 | 形と用途を見ればすぐ分かる |
| 第二段階 | 未使用か、消印があるか | 表面の印の有無を見る |
| 第三段階 | 日本の切手か、外国の切手か | 表記されている文字で判断する |
| 第四段階 | シート、ブロック、バラ | つながっている枚数を見る |
| 第五段階 | 記念切手か、普通切手か | 図案と額面の傾向で分ける |
| 第六段階 | 額面ごとにまとめる | 数字を見て積み分ける |
すべての段階をやり切る必要はありません。量が非常に多い場合、第四段階まで進めておけば、内容はおおむね伝わります。時間に余裕があれば第五、第六と進めればよく、途中で止めても作業が無駄になることはありません。
シートやブロックの扱いについては、切り離さないことが原則です。まとまった形であることに意味がある場合があるためで、その考え方はシート・ブロック・バラで変わる切手の評価の違いで詳しく整理されています。分ける段階で迷いやすい部分なので、先に確認しておくと安心です。
道具をそろえると作業が変わる
特別なものは必要ありませんが、いくつか手元にあるだけで作業のしやすさが大きく変わります。素手で長時間扱うと、指の脂や汗が移ってしまうこともあるため、道具を介して動かすようにしたいところです。
- 先の平らな切手用のピンセット、または薄手の手袋
- 区分ごとに入れる浅い箱、トレー、または大きめの封筒
- 区分名を書いて貼るための付箋やマスキングテープ
- 枚数と内容を書き留めるメモ用紙、またはスマートフォン
- 細かい部分を見るための小さなルーペ
- 作業台を拭くための乾いた清潔な布
区分ごとの入れ物には、必ず名前を書いて貼っておきます。作業を中断して再開したときに、どの箱が何だったか分からなくなるのを防ぐためです。同時に、区分ごとの枚数やおおよその額面の合計をメモに残しておくと、あとで内容を説明するときに役立ちます。
やってしまいがちな注意点
きれいにしようとしない
整理の途中で汚れや折れが目につくと、直したくなるものです。しかし、水で洗う、湿らせた布で拭く、アイロンをあてる、消しゴムでこするといった行為は、状態をかえって損なう原因になります。裏面の糊が失われたり、紙の表面が傷んだりすると元には戻りません。
台紙やアルバムの台紙に貼りついてしまっているものも同様です。無理にはがそうとすると裏面が破れることがあるため、そのままの状態で残しておきます。アルバムごと扱う場合の考え方は切手アルバム・ストックブックごと売るときの注意点にまとめられています。
価値の判断まで自分でしない
整理をしていると、これは価値がなさそうだと感じるものが出てきます。しかし、その場の印象で分けて捨ててしまうのは避けたほうがよいでしょう。見た目が地味なものや、古びて見えるものが、実は数の少ないものだったというケースもあります。
仕分けの目的は、内容を分かりやすい形に整えることであって、選別することではありません。要不要の判断は、内容が把握できたあとに落ち着いて行えば十分です。判断を急がないことが、結果的に納得のいく整理につながります。
作業を中断する場所に気をつける
途中でやめるときに、切手を広げたままにしておくのは避けたいところです。ほこりが積もったり、風で飛んだり、うっかり別のものを置いてしまったりする危険があります。区分ごとに入れ物へ戻し、蓋のできる場所にまとめてから離れるようにしましょう。
作業が長期にわたる場合は、置き場所の環境にも注意が必要です。湿気と直射日光を避ける基本的な考え方は切手の保管方法|劣化を防いで価値を守る基本と道具で紹介されていますので、あわせてご確認ください。
量が多すぎて手が回らないとき
箱がいくつも積み上がっていて、仕分けを始める気力すら湧かないという場合もあるでしょう。そうしたときは、無理にすべてを分けようとせず、状態と場所だけを整えて相談に進むという判断もあります。仕分けはあくまで話をしやすくするための準備であり、必須の条件ではありません。
その場合でも、最低限やっておきたいことがあります。箱ごとにおおよその中身をメモして貼る、湿気を含んでいそうなものは風通しのよい室内に移す、明らかに古そうなアルバムは別にまとめておく。この三つだけでも、状況の伝わり方は変わってきます。
また、家族や親族と一緒に作業できるのであれば、区分ごとに担当を分けるのも一つの方法です。人の目が複数入ることで、見落としが減り、判断に迷ったときに相談しながら進められます。ひとりで抱え込まないこともまた、大量の整理を最後までやり切るコツといえます。
整理が終わったあとの進め方
仕分けが一段落したら、全体の内容を一枚のメモにまとめておきます。区分ごとの枚数、シートの冊数、外国の切手の有無、目立って古そうなものがあるかどうか。この程度の情報があるだけで、相談のときの説明がぐっと楽になります。
また、区分ごとに写真を撮っておくのもおすすめです。持ち込む前に問い合わせをする場合、写真があれば話が早く進みますし、万一の紛失に備えた記録にもなります。真上から、影が入らないように撮るのがコツです。
ここまで準備できていれば、あとは相談の方法を選ぶだけです。量が多い場合は持ち運びが負担になりますので、自宅で見てもらう方法や、まとめて送る方法も含めて検討するとよいでしょう。それぞれの向き不向きは切手買取の方法を比較|店頭・宅配・出張の違いと向き不向きで整理されています。
まとめ
大量の切手の整理は、完璧を目指すよりも、大きな区分で確実に分けることを優先したほうがうまくいきます。手を加えず、判断を急がず、区切りをつけながら進めるのが基本です。最後に要点を整理しておきます。
- 作業の場所、時間の上限、どこまで分けるかを先に決めておく
- 大きな区分から順に分け、細かい分類は余裕があれば進める
- シートやブロックは切り離さず、つながったまま残す
- 洗う、伸ばす、はがすといった手入れは行わない
- 区分ごとの枚数をメモし、写真を残しておくと相談が進めやすい
量の多さに気後れしてそのままにしておくと、時間とともに状態は少しずつ変わっていきます。一度にすべてを片づけようとせず、休みの日に一箱ずつといった無理のないペースで進めてみてください。分け終えたときには、手元に何があるのかがはっきりと見えているはずです。

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